成年後見

現在、成年後見(せいねんこうけん)の利用が増加傾向にあります。

以前であれば、判断能力が不十分とみられる人は、親族が世話をするというのが一般的でした。

ところが社会構造の変化、生活の多様化、核家族化、少子化の影響で、もはや親族だけでは判断能力が不十分の人のサポートが難しくなっています。

そこで親族に代わって、彼らの今後の人生を一生涯サポートしてくれる存在として、成年後見にスポットが当たっています。

本記事は成年後見について一般の人にもわかりやすいようにご紹介します。

成年後見に関する要約

成年後見とは、判断能力が不十分な人の権利や財産を守る後見人がつくことです。

成年後見に類似する制度には家族信託があります。

家族信託とは、正式名称を民事信託といいます。家族信託の内容は家族を信じて託す財産管理制度のことです。

民事信託は、家族以外でも利用することができます。

成年後見のメリットは判断能力が不十分な人の行った不利益な契約などでも、後から取り消すことができます。

成年後見のデメリットは成年後見の申立ての費用、後見人への報酬が発生することです。

成年後見の注意点として則、一度後見人に選ばれると辞任することができません。後見人が亡くなるまで、後見人の職務を全うしなければなりません。

成年後見とは

成年後見の基本について、わかりやすくご説明します。

成年後見とは?

成年後見とは、成年後見制度のことになります。

成年後見制度を利用できるのは、成人した人で、なおかつ判断能力が不十分な人です。

具体的に判断能力が不十分な人とは法律上下記に該当する方です。

  • 精神上の障害がある
  • 認知症がある
  • 知的障害がある

彼らを、実際に守ってくれるのが「後見人」という存在です。

成年後見制度には、任意後見と法定後見の2つがある

成年後見制度には、任意後見と法定後見の2つがあります。

任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力が不十分になる前に自分の意志で後見人を決定できる制度のことです。

要は後見人を決めているのは本人ということです。

ただし、本人の判断能力があるうちしかできません。

方法は公証役場で契約を行います。

法定後見とは

法定後見とは、本人の判断能力が不十分になった後に、本人以外の周囲が申し立てを行う制度のことです。

法定後見は本人の判断能力がなくなった後でないと、申し立てができません。

また本人以外の周囲は申し立てを行うだけで、実際に後見人を選定するのは家庭裁判所になります。

成年後見に必要な書類

成年後見に必要な書類は以下の通りです。

必要書類説明
申立書一式申立書一式の内容
・申立書
・申立事情説明書
・親族関係図
・財産目録
・収支状況報告書
・後見人候補者事情説明書
・親族の同意書
全て、住民票がある所轄の家庭裁判所の窓口、HP上でダウンロードして無料で入手できます。
戸籍謄本(本人・後見人予定者)それぞれの住民票がある市区町村役場の窓口で有料で入手できます。
住民票(本人・後見人予定者)それぞれの住民票がある市区町村役場の窓口で有料で入手できます。
登記されていないことの証明書(本人)住民票がある管轄の法務局本局のみで、成年後見の登記がされていないことの証明書を有料で入手できます。
医師の診断書等主治医がいる病院などから、有料で入手できます。
本人に関する必要資料本人の健康状態、財産、収入、支出の全てがわかる資料をコピーして提出します。
その他裁判所が必要とする書類等

申立書一式

成年後見を申立てるために必要な書類セットのことです。

本人の住民票がある所轄の家庭裁判所の窓口、またはHP上からダウンロードを行います。

無料で取得することができます。

戸籍謄本(本人・後見人の2通分)

法定後見申立てには、本人と後見人のそれぞれを証明するために2通分の戸籍謄本が必要になります。

※各役所が発行した書類の有効期限は発行日から申立日までが3か月以内です。

住民票(本人・後見人の2通分)

法定後見申立てには、本人と後見人のそれぞれの住所を証明するために、2通分の住民票が必要になります。

登記されていないことの証明書(本人のみ1通)

登記されていないことの証明書とは、申立て申請時に本人が成年後見を利用していないことを証明するための書類です。

仮に利用していると、後見登記されています。

登記されていないことの証明書は所轄の法務局の支局・出張所では取得不可です。所轄の法務局本局のみでしか取得できないのでご注意ください。

医師の診断書等(本人のみ1通)

医師の診断書は本人の主治医、またはかかりつけの医師に作成してもらいます。

この場合、メンタルヘルス・認知症専門医に作成してもらうとなお良いです。

その理由は高度な診断で精神上の障害・認知症・知的障害などを証明してもらえるからです。

本人に関する必要資料

本人に関する必要資料とは、本人の健康状態、財産、収入、支出の全てを証明する資料のことです。

原本を出す必要はなく、コピーして提出することができます。

健康状態がわかる資料

健康状態がわかる資料とは、身体障害者手帳、介護保険認定書、療育手帳、精神障害者手帳などです。

財産の状態がわかる資料

財産の状態がわかる資料とは預金通帳、預金証書、株式の取引証明書(電子取引のため)、不動産の全部事項証明書、固定資産評価証明書、地代の証明書、生命保険証書などです。

収入の状態がわかる資料

収入の状態がわかる資料とは給与明細書、確定申告書、年金振込通知書などです。

支出の状態がわかる資料

支出の状態がわかる資料とは、納税通知書、国民健康保険料通知書、介護保険料通知書、
住宅ローン残高証明書、固定資産税納税通知書、医療費の明細、家賃の支払い証明書、各領収書などがあります。

遺産の状態がわかる資料

遺産の状態がわかる資料とは、本人が相続人になっている遺産に関する資料のことです。

その他家庭裁判所が必要とする書類等

その他家庭裁判所が必要とする書類とは、成年後見を審理するために必要な書類のことです。

成年後見手続きの流れ

法定成年後見の手続きの流れについてご紹介します。

1.相談

相談とは本人の親族が集まり、成年後見制度を利用をするかどうかを相談することです。

2.申立て

申立てとは本人の親族が、所轄の家庭裁判所に必要書類を準備し、成年後見制度の申立てをすることです。

3.調査

調査とは家庭裁判所が申立人・後見人予定者の双方から事情を聞いたり、事実関係を調査することです。

4.審問

審問とは家庭裁判所が必要と判断した時にのみ、裁判官が関係者に事情を尋ねることです。

具体的には家庭裁判所の職員・調査官・裁判官などが、申立人や本人と面談をするということです。

5.鑑定

鑑定とは家庭裁判所が必要と判断した時にのみ、医療機関に本人の精神鑑定を依頼することです。

6.審理

審理とは家庭裁判所の裁判官が全ての事情、書類、調査結果、鑑定結果を元に本人が成年後見に該当するかを検討することです。

7.審判

審判とは家庭裁判所の裁判官が審理を行った上で、総合的に判断して、本人に成年後見が本当に必要か、どうかを決めることです。

申立てから約2か月程度で審判が出ます。

8.登記

登記とは成年後見の登記を所轄の法務局に行うことです。

後見人が、家庭裁判所から審判書謄本を受け取ってから2週間以内に異議の申立てがなければ審判が確定します。

登記されると、実際に判断能力が不十分な人の成年後見がスタートします。

成年後見のメリット

成年後見のメリットは以下の通りです。

・本人の行った不利益な契約などを、後からでも取り消すことができます。

・本人の財産を、親族や身近な人からの使い込み被害から防ぐことができます。

・本人の生活に必要な契約を、代理で行ってもらうことができます。

・不明であった財産状況や収支状況がガラス張りになり、詳細に把握することができるようになります。

成年後見のデメリット

成年後見のデメリットは以下の通りです。

・成年後見の申立ての費用、後見人への報酬が発生することです。

・本人の生活や健康を維持するため以外の財産を動かすことができなくなります。

・本人が亡くなるまで、やむを得ない事情がない限り後見人の変更はできません。

成年後見手続きの注意点

成年後見手続きの注意点は以下の通りです。

・申立人が希望した人が、必ず後見人になるわけではないことです。

・原則、一度後見人に選ばれると辞任することができません。後見人自身が亡くなるまで、後見人の職務を全うしなければなりません。

・申立ての事務作業は複雑なので、専門家に依頼した方が良いでしょう。

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