短期滞在ビザ

日本企業においては、国内の人材不足解消や多様性の確保を目的とした、外国人雇用が拡大傾向にあります。

日本を訪れる外国人は、多くが観光等を目的とした短期滞在ビザの取得者ですが、短期滞在ビザでは、日本で就労して報酬を得ることができません。

しかし、就職面接や無報酬のインターンシップとしてであれば、適法に外国人を日本に呼び寄せることができます。これを利用して、優秀な人材を確保するための機会を作ることが、有効的です。

この記事では、優秀な外国人人材確保のための『短期滞在ビザ』について詳細にわかりやすく解説していきます。

短期滞在ビザに関する要約

短期滞在ビザは、観光ビザとも呼ばれており、最も多くの外国人が日本に入国する際に取得しているビザです。

外国人が日本で就労するためには、就労ビザを取得するのが一般的ですが、企業とあらかじめ雇用契約を締結する必要があります。この雇用契約の前段階として、短期滞在ビザを利用する手法が有効的です。

就労禁止や在留期間等に注意し、その他法令遵守を徹底することで、企業は適法に優秀な外国人材確保のための機会を得ることができます。

短期滞在ビザとは

短期滞在ビザとは、外国人が日本に短期間滞在して行う観光、親族訪問、商用等のための在留資格又は上陸手続きのための査証のことを言います。就労は目的に含まれていません。

このビザは、日本に入国する全ての外国人に対して必要としているわけではなく、68の国・地域から入国する外国人に対しては免除措置しています。

ビザ取得に係る申請は、外国人の居住地を管轄する在外公館に対して行う必要があり、日本国内で完結させることができません。また、短期滞在ビザで在留できる期間は、90日以内として3つに区分されており、原則更新(延長)できません。

これらは、出入国管理及び難民認定法(入管法)等によって定められており、申請に必要な書類やビザ発給の流れ、メリット・デメリットや注意点については、以下で解説していきます。

短期滞在ビザに必要な書類

短期滞在ビザの申請に必要な書類は、入国する外国人が居住する国・地域や申請方法、渡航理由、期間等に応じて異なります。

短期滞在ビザの申請方法は、申請人(外国人)が単独で行う方法と、招へい人(日本居住の協力者)が申請人を呼び寄せる方法の2種類がありますが、この記事においては、企業が外国人を招へいするケースを想定し、後者についてのみ解説していきます。

この方法の場合は、申請人の他に、招へい人及び身元保証人が必要となりますが、招へい人と身元保証人は同一人物でも構いませんし、複数人立てることも可能です。

招へい人及び身元保証人が用意した書類については、申請人が在外公館に申請する際に使用しますので、原本をあらかじめ送付しておく必要があります。

書類名用意する人概要備考
旅券(パスポート)申請人各国政府が発行する国籍や身分を証明有効期限に留意
査証(ビザ)申請書同上査証発給のための申請書外務省が定める様式
写真(基本1枚)同上査証申請書指定位置に貼り付ける。ビザにも転載。顔全体・正面・白背景45mm×45mm6か月以内
航空便の予約確認書申請人又は招へい人出入国予定を確認する往復分の予約実態が必要
招へい理由書 招へい人申請人を入国させる際の推薦状招へい経緯は、別紙可
滞在予定表同上滞在地や活動内容を具体的に示す記載内容と一部異なる行程となっても可
身元保証書身元保証人身元保証人の存在証明身元保証は道義的な責任に留まる
住民票同上身元保証人関係資料 身元保証人が渡航費を負担する場合のみ世帯全員分
在職証明書又は営業許可証同上同上 写し可
渡航費用支弁能力の証明書類同上同上 直近の収入がわかる証明書類(源泉徴収票不可)
その他の書類いずれか上記のほか必要な資料必要に応じて

短期滞在ビザの流れ

短期滞在ビザの流れは、次の6つのとおりです。

①渡航(来日から帰国まで)の計画を立てる

短期滞在ビザ発給の確実性を高めるためには、入国する理由・目的・滞在期間・滞在場所等を明確にすることが重要です。書類作成や入国審査の際に齟齬が発生しないためには、計画を綿密に立てておく必要があります。

また、計画を立てるに当たっては、書類作成から出国までを網羅し、申請人と招へい人とで情報を共用しておきましょう。

②必要書類を準備する

三者それぞれが必要書類を準備する必要があります。渡航理由や目的を明確に示し、信憑性を有する書類となるよう留意しなければなりません。

公的機関等が証明書等の発給に要する期間や、申請人への送付期間も必ず考慮し、余裕をもったスケジュールで必要書類を準備しましょう。

③居住地を管轄する在外公館で短期滞在ビザを申請する

必要書類の準備が整い次第、申請者の居住地を管轄する在外公館(大使館又は総領事館等)に対して申請を行います。各国・地域における在外公館の所在地等については、外務省HPで確認することができます。

在外公館に申請するのは申請人であり、招へい人や身元保証人が行うことはできませんので、注意が必要です。

④在外公館で申請に対する審査が行われる

在外公館では、申請人の短期滞在ビザ申請に対する審査が行われます。なお、追加書類の提出や電話等での確認を求められることがあります。

⑤審査終了(査証発給)後、旅券(パスポート)を受け取る

審査が終了し、無事に査証が発給されたら、在外公館から旅券を受け取ります。査証は、旅券に貼り付けられており、入国の際に提示を求められます。

⑥短期滞在ビザの有効期間内に日本に入国をする

短期滞在ビザの有効期限は原則90日間です。有効期限内に入国審査を受けなければ、ビザは失効してしまいます。

また、査証が発給されたからと言って、必ずしも日本に入国できるわけではありません。日本に移動後、入国審査官から上陸許可を得られて初めて入国することができます。

短期滞在ビザのメリット

短期滞在ビザのメリットは、次の3つのとおりです。

  1. 雇用契約を結ばずに外国人を呼び寄せられる
  2. 応の理由や目的を提示すれば、許可を受けやすい
  3. 門家である行政書士のサポートを受けやすい

就労ビザの取得には雇用契約の締結が求められるのに対し、短期滞在ビザであれば不要なため、面接や無報酬インターンシップに適していると言えます。

また、外国人や招へいする企業がにビザ発行上の問題がなく、必要書類等を正確に用意することで、比較的許可を受けやすいです。

なお、必要書類の作成や手続きの段取り等は、ビザ発給事務を専門としている行政書士がおり、サポートを受けやすいのも魅力的です。

短期滞在ビザのデメリット

短期滞在ビザのデメリットは、次の3つのとおりです。

  1. 就労が認められていない
  2. 在留期間が原則90日以内に限られている
  3. 1年間で原則180日を超えて在留することができない

短期滞在ビザにより在留している外国人には、日本企業から報酬を得て行う就労が認められていません。短期滞在ビザで就労した場合は『不法就労』となり、雇用主に対しても『不法就労助長罪』として、罰則が適用される可能性があります。

また、短期滞在ビザによる在留期間は原則90日以内であり、特別な事情がなければ更新することはできません。

なお、法令等に明記された決まりごとではありませんが、短期滞在ビザにおける在留資格は、1年間で原則180日以内までとされています。

短期滞在ビザの注意点

短期滞在ビザの申請について、特に注意すべきことを3点お伝えします。

1つ目は、ビザ発給までには多くの時間を要するということです。審査や書類作成、書類送付の期間も考慮し、渡航予定日の2〜3か月前には準備を開始することが望ましいです。渡航期間が差し迫ったことを理由として、審査を早めてくれることはありませんので、渡航計画が台無しになってしまいます。

2つ目は、ビザ申請が通らずに不発給となってしまった場合には、同一理由によるビザ申請を6か月間行うことができないということです。これを避けるために、適切な書類作成を行う必要があります。

3つ目は、短期滞在ビザで在留している外国人を採用するには、就労ビザへの切り替えが必要だということです。就労ビザへの切り替えは、短期滞在ビザの有効期限内に終える必要があり、切替中であることを理由として、ビザが更新されることはありません。切替が間に合わない場合は、一度帰国して就労ビザを取り直すこととなります。